環境型パッケージ パルプモールド
近年の環境配慮と言う部分において、古紙を主原料とし再利用したパルプモールドパッケージが注目されております。今までは、工業部品・卵パック・青果の緩衝材として使われる事が多かったのですが、最近では意匠性の高いパッケージとしても多く採用され、大手携帯電話メーカーの化粧箱にも採用されております。
パルプモールドは古紙(牛乳パック・段ボール・新聞紙等)を水で溶かし、金型で抄き上げたあと、乾燥させ出来る紙立体成形品です。
多くの工場は上記の製造方法ドライモールド製法(成形→乾燥→プレス)となりますが、近年、国内でウエットモールド加工(成形→絞った状態でプレス)と言う技法にてテーパーなし・滑らかな表面等、衣装性の高い製品製造が出来る様になったと聞いております。
パルプモールドの大きな特徴としては、緩衝性に優れている事、原材料が紙なので、保水性・通気性に適している事、組立作業不要の為、作業性に優れている事、古紙利用でのエコイメージを強調出来る事だと思います。また製造工程時に接着剤・糊等を使用しない為、焼却時においても、ほとんど有害物質を発生させない為、CO2削減の排出量も極めて少なく、地中に埋めれば生分解されます。
製品のカラーバリエーションは基本、原材料によって決まります。白を基調とした製品にしたい場合は、牛乳パックを主とした原材料を使い、ブラウン調が良い場合は、断ボール・新聞紙等を使います。また別注色として紙自体に着色を施す事も可能です。
色のバリエーションについては、淡い色を施す事は出来ますが、印刷の様な濃い色を表現する事は、現段階で難しいとの事です。
製品の厚みは、パッケージ等に使用されるソフトモールドでは3㎜位の厚みとなり、工業用の梱包材に用いられるハードモールドは10㎜以上の製品が出来ます。
印刷・箔押・浮き出し・エンボス等の加工においては、製品の形状・仕様によっては、制限が出る可能性がありますが、施す事は可能です。
試作製造においても、本番同様の鋳物で金型を作り実際同様に行う事も可能ですが、3Dプリンターを使用し、樹脂型を製造する事も可能で、鋳物金型より納期短縮が可能です。
国内においては、パッケージとしての既製品の取扱いは少なく、別注品製造が主となっております。その為、製品に作る際は、初期費用としてプラスティック製品同様に金型(成形品+抜型)が必要となります。また製品コスト面もプラスティック品・紙器品と比べますと、割高になる事が多いです。その為、製品化に向けて躊躇される事が多いのも事実です。
しかし、海外では日本以上にモールドと言う分野において関心・需要があり、製造工場の増設・拡大を実施すると言う情報も聞いております。
今後、国内においてもエコの浸透・規制等が多く設けられると思います。
ECO・環境と言うキーワードはパッケージを扱う、弊社としても考えていかなければいけない事だと考えております。製品作りにおいても、お客様と一緒に考え、少しでもECOというキーワードを取り入れられたら良いと考えております。
生産管理部 長谷部 健